アマゾンが本気を出してる

アマゾンがECサイトの物流受託を開始、マーチャント@amazon.co.jp利用企業向け:ITpro
これはすごい。
通販業務っていうと在庫のコストと送付のコスト、発注のコストが結構かかる。
注文を受けてからその在庫があるかをつき合わせし、在庫がある物を出荷可能にして、
注文内容を元に荷造りをして、配送業者に渡す必要がある。


当然、在庫数を正常に管理する為に、定期的な棚卸しは必須だし、
在庫*1が切れない様、定期的な発注を行う必要がある。


荷造りして配送業者に渡すのだって、大体は朝夕それぞれ2回で、それまでに済ます必要がある。
通販ってのは注文を受けてすぐに出荷出来るって言う所も結構セールスポイントになる*2ので、
荷造りする為に結構人材を配置させないといけない。
荷造りの為だけに人を雇う会社はかなり多いです。
相当人件費が掛かっている所。


さらに、これはamazonの情報を使うようなので、amazonの会員の場合、住所入力や会員情報を
入力しなくて済む。
Webのシステムを触ってる人にとってはもはや常識だと思うけど、
入力画面の簡略化を少しでも出来ると、入力してくれる人の率は向上し、
注文される数は多くなる。
通販を行う会社にとって非常に大きな武器になるよね。


凄い良いビジネスだ。


もちろん、デメリットもある。
特に大きそうなのが一度入ると抜け出せない事だ。


アマゾンの配送情報を使うので、アマゾンにだけユーザーの情報がたまっていき、
アマゾンとの契約が切れると自社の利用者の配送情報を失う。


そうなると、アマゾンと契約をなかなか切れないと言う事になっていく。
きっとアマゾンは個人情報保護の関係でユーザーの情報を開示しないと思うし開示できない。


たとえば、アピール用のDMを送るのにアマゾンを使っているので、アマゾンと契約を切る来月から
これまで使ってくれたお客さん全員いなくなっちゃった事態になりかねない。
実際、楽天なんかはそうしていて、宣伝なども楽天経由で無いと出来ない為、
楽天の出展料が上がっても離れられず、楽天のおかげで売り上げは上がったけど
利益率は下がってないている通販会社とかも結構あるらしい。
アマゾンがそうしない理由はないし、そうする事で大きな利益も得られそうなので、
きっとそういうシステムになるんだと思う。
(補足:一般的に通販は一度目のお客さんは、宣伝費等を考えると利益が出ない。
何度も利用するリピーターを確保する事が重要だと言う話がある。)


しかし、この製品、新規に通販を始めようとする会社にとっては魅力的だよなあ。
発注、送付に関する業務に掛かるコストをそのままアマゾンに任せられる。
実際の費用は乗ってないけど物流の維持コスト考えると多少高くても
最終的に結構メリットある話じゃないか。


こういう儲ける仕組みを構築できるアマゾンの戦略に「これはすごい」と感心してしまったので、
ついエントリを書いてしまった。

*1:在庫という存在は、非常に厄介で買いすぎるとコストがかかるが、無いと買ってくれる人が減ってしまうと言うジレンマがあって常に適切な在庫数を求める為に企業はすごく神経を使う

*2:それこそamazonはその日の朝8時ぐらいの注文はその日中に送ってくれるし、アスクルだって、明日来ると言うセールスポイントをアピールしてる